カノシタのお吸い物です。だいぶ山が乾いてきました。
クロカワ、桜しめじ本格的に始まるには、もう一雨かもしれません。
初茸、あみ茸はおそらく今シーズン終了かもしれません。
今日はクマのお話です。
山歩きにおいて最大の恐怖のひとつ、クマとの遭遇です。
今年はじめて野生のクマとご対面しました。
春、コシアブラを採りに山に行きました。朝6時くらいでしたか、辺りは霧に覆われ薄暗く、不気味な感じではありました。
舗装道路に車を止め、10メートル程も歩いたでしょうか。1本、ちょうど手を伸ばせば届きそうな高さのコシアブラの木がありました。
様子の良い芽が5つ6つ、背伸びをして採っていたところ、すぐ隣でガサガサやっています。
一緒に来た相棒がコシアブラを採っているんだろうと思いました。
ただ、視界の隅に黒いものが見えました。
それでも私は気づきません。
やがて、獣の低い、まるで地響きのような唸り声が隣から聞こえてきます。
さらにガサガサと大きな木を揺らす音が聞こえてきます。
そこでやっと事態の異常さに気づき、隣に眼を向けました。
思わず山に来たことを後悔するほどの大きなツキノワグマが目の前で木を揺らしていたのです。
人間本当の恐怖を味わうと声など出ません。
その距離たった2メートルくらいでしょうか?
何秒経ったのでしょう、彼(クマ)もとうとうこちらに気づきました。
お互いの眼が合い、彼の唸り声が一瞬止まりました。
そこでやっと私も声がでました。
何と言ったかは覚えてません。おそらく言葉にならない恐怖の囁きです。
すると、急に立ち上がり、思い出したくも無い程恐ろしい声で彼が吼えました。山中に響くんではないかという大声です。
もう何も考えられません。
猛ダッシュで車に向かいました。
あとすぐで車に着く瞬間です。
止せばいいのに走りながら後ろを振り返りました。
足場は濡れていたので泥か葉っぱで滑り、どちらが空か地面か判らなくなるほどの派手に転倒しました。
すぐに起き上がり、急いで車に乗り込みます。
車を頭から山道に入れる形で止めたので、彼と向き合うことになりました。
彼は先ほどの位置から少し降りてきて、きょとんとした顔でこちらをずっと見ています。
クラクションを何度か鳴らすと、驚くでもなく、面倒くさそうに奥の方へ歩いて行きました。
決して動物園やテレビで見る可愛いクマさんではありませんでした。
ヒグマと違いそれほど大きいというイメージが無く、大きい犬くらいのものだろうとそれまでは思っていました。
眼の錯覚か、恐怖による記憶の変化か、私には曙関くらいの巨漢に見えました。とてもかないそうにありません。
熊避けに鈴をつけたり、ラジオを鳴らしたりしている人がいますが、私が思うに、何の効果も無いように思えます。
微塵も人間を怖がっていないように見えました。でなければ、あんな道路わきまで出てきません。
目の前に車が無かったらと考えると今でも鳥肌が立ちます。
本日の入荷〜畑しめじ6kg、ほうき茸3kg、クロカワ1kg弱、桜しめじ少々、松茸、香茸、初茸少々。